君は奇跡 by パブロ・カザルス(1876-1973)

この宇宙で 僕らは毎秒あたらしい刻を生きている
二度とくりかえさない自分自身の時を……
では 僕らは子供たちに何を教えているだろうか
2たす2は4  フランスの首都はパリだと
彼らが何者であるかを いつ僕らは教えるのだろう
一人々々に僕らは言わなければならない
君は自分が何者であるかを知っているかい
君は驚異  君は奇跡  君はとても素晴らしい存在なんだよ
そうさ 君は二人といない
過ぎ去った何百年もの昔から 君と同じ子供はいなかった
君はシェークスピアにもミケランジェロにも
ベートーヴェンにだってなれるんだ
君は何者にもなれる可能性を持っているんだよ
君は奇跡の子供だから
そうであるなら 君が大人になった時
君と同じように奇跡の存在である他の人を
傷つけることなんてできるだろうか
君は努力しなければいけない
いや 僕らみんなが努力するべきだ
世界を子供たちに与えるに 値うものとするため
「君は人を殺したり 殺されたりするために生まれてきたのではなく
この世の全てを愛するために生まれてきたのだよ
だから戦わず 互いを大切にしておくれ
世界中の誰もが皆 一本の木につながる葉っぱなのだから」
もし それを世界中の母親が我が子に心から伝えることができたら
きっと世界から争いはなくなるだろう
世界は変わるはずだ
世界の夜明けは子供から始まる
そして 私は信じたい
音楽や芸術の美しさにも 世界を救う力があるということ