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スウェーデン紀行 2010〈報告-4〉

2010年5月2日(日)04:22
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スウェーデン報告-4(2010/04/30)

夕方5時も近くなってくると、辺りはすっかり夜である。
さすがに寒さも増し、暖房のきいたホテルの部屋が恋しくなってきた。
少しでも近道をしようと、かつて入ったことのない裏ぶれ通りを歩いていた。
そこはガムラスタンのはずれである。
どうということのない店ばかりが連なる通りの一角に、これまた何ということもない汚い骨董屋があった。
間口3mもない小さな店の扉を押し開けると、まるで壁のように雑多な品々が山と積み上げられている。
ほぼ真っ暗というに近い店内に、背丈を超えるほどのガラクタが崩れもせず雑然としてあるのだ。大袈裟と思うだろうけれど本当だ。
奥にいる しょぼくれ親爺に目で挨拶をするも、さすがに見るべき物は無きだろうと呆れていたところ、ふと私好みの古びた銅板画のポスターが目についた。
それを手にとり、「イズ・ディス・オールド・ストックホルム?」と尋ねてみた。
すると店主は、「ノー、ゴーセンブルク!」と言った。
『ゴーセンブルク』とはスウェーデンで最も旧く且つ大きな貿易港『イヨテボリ=Göteborg』の英語読みの名だ。
よく見れば、たしかに『Göteborg』と枠外に記してあり、『1850』と明記されていた。
しかも、ボロボロのその1枚を持ち上げると、さらにその下に『1800』と書かれたもう1枚を見つけた。
旅とはこれだから面白い。
何の期待もしていないところに、ふとした宝がころがっているものである。
無論、常人には何ら益なきガラクタに違いないのだろうけれど、まがりなりに貿易を生業う私にとっては、実に興味深い発掘の成果であった。
1枚150Kr、2枚で300Kr。安くもないが高くもない……。しかし、この旅の経費のほとんどをカード払いで済まそうと考えていた私は、多くの現金を持っていない。案の定、こんな小さな店は現金商売にきまっていた。
「2枚とも買うから200Krにならないか?」と強引な値切り交渉を試みたが無駄であった。仕方なく私は、1850年の1枚のみを言い値で買うことにして、1800年のもう1枚は、未練がましくデジカメに収めることにした。

200年を超える昔、全く何もない原野だったところが、わずか50年の後には、実に冠たる大港に発展した勇姿である。

▲ 1800年 Göteborg 遥かを見つめる二人の男の図


▲ 1850年 Göteborg 酒樽を転がす人夫や商人たちの図




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