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スウェーデン紀行 2010〈報告-1〉

2010年1月29日(金)13:46
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私は案外と物を書くのが好きな方であるのだが、いかんせん生来の無精者で根気が続かない。
それだから、こうしたブログなるものは全く不向きなのだ。
「それじゃいかんよ!。庭の花が咲いたとか、雪が積もったとか……何でも良いから書いて、更新しておかなけりゃ顧客に飽きられちゃうよ。へたすりゃ、ユウレイ会社みたいに勘違いされかねないぞ」。と、友人たちに言われ、久かたぶりに重い筆を取る事となった。
と、言うより、このたび久しぶりにスウェーデンの工場へ打合わせ出張に出かけたものだから、その時の報告を少し書こうと思う次第だ。

スウェーデン報告-1(2010/01/27)

とは言うものの、実の話……むこうで大風邪をひいいてしまい、ろくに面白い出来事も無かったというのが本当のところだ。

到着の翌晩から発熱し、病院へ行くも、37.5度ていどの熱では全く相手にしてくれない。
スウェーデン人は日本人よりも体温や血圧が随分と高いらしいのだが、私の場合、平熱が35.2度くらいなのでけっこう辛いものがある。
けれど、そんな事はおかまいなしで、4粒ていどの錠剤をくれただけでサッサと追い出されてしまった。

効きもしない薬はすぐに無くなり、街の薬局で買った Alvedon(英語ではParacetamol 、ヨーロッパでスタンダードな薬らしい)なる解熱鎮痛剤を試してみたが、やはり駄目だった。

反面、仕事のスケジュールだけは順調にこなせ、週末には何とか目的を達成できたもので、残りの数日は北の方でオーロラ見物でも……などと思案するも、結局、北欧のしつこい風邪を引きずったままストックホルムに辿り着いた私は、雪を額に乗せ、ユースホステルのベッドで死んだように寝りつづけた。

ずいぶんと色んな夢を見つづけ、夢と現(うつつ)の狭間が分からぬ頭で、「オレはいったい、はるばると夢を見るために此処へ来たのだろうか……」なぞと、夢の中に見た懐かしい友人や死んだ親父の印象に話しかけているようなザマであった。
旅に病み 夢は枯れ野を 駆け巡る」……こんな句を詠んだのは芭蕉であったろうか。

これではいけない! と、フロントに行って病院の場所を教えてもらい、完全防備を着込み、5分で行けると言われた処まで20分ほどもかけて這っていった。だのに……やはり、スウェーデンのお医者様はとても不親切だった。
「普段の平熱が低く、1週間も熱が下がらないこと…」「薬を飲んでも全く改善されず、特に夜中にひどくなること…」「明後日には日本に帰国するので、どうしても完全に治したいこと…」などを、いくら訴えても「ベター、ベター」の一点張りで相手にしてくれない。注射も点滴もやってくれないなら、せめて抗生剤を処方してくれ……と拝み倒すも詮なきこと。
そこへ偶然、出張中だという日本人ビジネスマンが看護士に伴われて診察室に入ってきた。見るに見かねた看護士が気をきかせ、廊下に立ってた利発げなイケメン・ジャパニーズをつれてきてくれたのだ(彼は、怪我をした友人の付き添いで来ていたと言う)。
語学に貧しい私のような者にとり、異国で出会う同胞はまさに地獄に仏……。
そこで、もしや私の粗末な英語がスウェーデン人医師にうまく伝わっていないのでは……と疑心し、もう一度同じことを通訳してもらうと、不思議と一応に理解はされていた。
それで医師は、「分かってる、分かってる、でもウイルス症状もないので、注射も抗生剤も必要ない、大丈夫だ。飛行機にだってちゃんと乗れるから安心しろ……」と何度も繰り返すばかりで、しまいには世間話でお茶をにごし、「Go Home!(さっさと帰れ)」とかたずけられる始末。

国柄によって、医療法の違いがあるのは仕方ないとしても、まったく、まいった話である。
「苦しいのはこっちで、あんたじゃないだろぅ!」と怒鳴りたかったが、それもおそらく無駄なこと。
「水があわない」とでも言うのだろうか……。ともかくも、見知らぬ外国での病気は絶対禁物!という教訓を得たことだけが、今回の収穫だ。
ともあれ、けちらずに、旅行保険に加入していた事だけは不幸中の幸いであったと言える。




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